厚生労働省の研究班が2008年にがん患者約8千人を対象にしたアンケートでは、半数近い48.6%の人が不安など心の問題を抱えていたことがわかった。具体的には、再発・転移の不安・将来に対する漠然とした不安・死を意識など。告知されたとき、治療からこれまで、現在と、時期によって患者が抱える悩みの中身が変わることも判明。その時々に合わせた適切なサポートが求められている。がん患者を精神的にサポートする「サオコオンコロジー(精神腫瘍学)」は2077年に米国で生まれ、がん患者や家族への心理的な援助が、がんの治療にもプラスの影響を与えることが分かってきた。日本でも90年代に取り組みが始まったが、普及は遅れている。厚労省研究班が全国のがん診療連携拠点病院286施設を対象に患者や家族のサポート体制について行った調査では、グループ療法を実施している施設はわずか7施設。実施できない理由で最も多かったのは「トレーニングを受けたスタッフがいない」だった。そこで研究班は2007年から、グループ療法のファシリテーター(司会者役)を養成する講座を全国で開いている。昨年までの2年間で、医師、看護師、臨床心理士ら1000人を超える医療従事者が受講。うえお乳腺外科の久保田さんもその一人だ。 「がん患者さんのためのグループ療法マニュアル」は「こころのリエゾン」からダウンローデできる。(朝日新聞)