被爆者のがん組織 蓄積
長崎大学の原爆後遺障害医療研究施設(原研)は、がんなどの手術で被爆者から摘出した組織を冷凍保存し、被爆情報とともにデータベース化する「被爆者腫瘍組織バンク」の設立を決めた。2012年をめどに、インターネットで世界の研究者に公開する方針。集めたサンプルをもとに研究が進み、がんが発生しやすいメカニズムが解明できれば、被爆者だけでなく、がんの予防や早期発見につながる可能性があるという。実務を担当する中島准教授(44)によると、被爆者から腫瘍と正常な組織の提供を受け、液体窒素で急速冷凍し、原研の冷凍庫でマイナス80度で保存する。従来のホルマリン漬けと違い、DNAが細かく千切れたり、たんぱく質が変性したりすることがなく、より詳しい解析が可能になるという。放射線が遺伝子を傷つけてがんを誘発することは分かっているが、被爆者にがんが多発するメカニズムが明らかでないという。(朝日新聞)
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