小さく切除する「温存療法」の進化
乳がんの治療はここ20年で著しい変化を遂げています。現在ではまず画像診断でがんの大きさを測定し、がんの部分の組織をとって浸潤の有無を調べます。そしてそのがんは女性ホルモンの刺激に反応するのか、活発に大きくなる性質なのかなどを見極めます。その結果、たとえば抗がん剤が効くタイプのがんなら、先に抗がん剤治療を行ってがんを小さくしてから小さく切除するという、乳房をより美しく残す手術が可能となりました。今はこの乳房温存療法が一般的になり、私たちの病院における温存率も7割を超えています。ただ乳房全体に広がるがんの場合は大きく取らざるを得ませんし、極力小さくとっても左右のバランスが崩れることもあります。昨今は形成外科との協力により形成技術も進歩してきましたし、収束超音波を当ててがんを焼き切る方法など、切らずに治す方法論も研究段階に入っています。今後そうした様々な治療法を選択していく上でも、まず自分のがんの状態を把握することが大切です。主治医に任せるのではなく、本当に自分で納得した裁量の治療法を選択していただいきたいと私は考えています。(朝日新聞)
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