愛媛県の新事業は、ピアサポーター養成などまだわずか。それでも県議会の岡田志朗・議連会長は「条例は出発点に過ぎないが、(積極的にがん対策費を盛る)予算編成の根拠になる」と意欲を語る。市民運動や啓発運動とかかわりがない患者が行政に訴えるのは難しい。沖縄の患者会幹事・上原弘美さん(42)も初めて県庁を訪ねたときは「心臓がバクバクした」という。東京で看護師をしていた5年前、乳がんを患い帰郷。今年6月にたまたま、琉球大学が初めて開いた患者と家族の集い、「ゆんたく会」に参加したのが転機だった。「ゆんたく会」は地元でおしゃべりや井戸端会議のような意味だ。同じ立場の数十人が月に一度、つらさや悩みを分かち合うゆうたくは快かった。仲間と9月、患者会を設立した。その頃県はがん対策の基本的な計画「アクションオウラン」を策定していたが、「患者の声を反映して」と、会の仲間と県庁を直撃した。県医務課の大城班長も「当事者の話を聞く大事さを思い知った」という。県はプランに「対策推進のため患者と意見交換する」などの項目を加えた。(朝日新聞)