がんの告知についても手当てされる。緩和ケアなどの研修を受けた医師と看護師が治療方針などを話し合い、内容を文書などで患者に同意を得た上で渡すと、1回に限り患者1人につき千円が医療機関に支払われる。「患者が望む告知とは何か、考えるきっかけになってくれれば」と愛知県の女性(57)は話す。3年前、夫が食道がんで他界した。生前、医師から一緒に検査結果を聞いたとき、部屋に入るなり、「早くても半年か1年、長くて5年」と言われた。あっけなさに言葉を失った。「ご主人は自分の病状がよくわかっていない」と言われたことも。もう長くないという現実を受け入れて、という意味に聞こえた。患者や家族は希望と絶望の間で揺れる。簡単に受け入れられないのは当然ではないかと思った。「患者の命に寄り添ってくれるような告知を望みます」 収入に直結しない現在でも、告知のための環境を整え、時間をかけて説明する医師や医療機関はあるが、診療報酬として明確化することが、下支えになりそうだ。(朝日新聞)