被災、窮状に支援次々
3月11日、東日本大震災が仙台市を襲った。激しい揺れに交換用のパウチと尿のカテーテル、抗がん剤を真っ先に手に取った。自宅は無事だったが、夫の実家は津波で流され、3人の親族を失った。抗がん剤の副作用で下痢が続くのに、断水で人工肛門のケアができず、炎症が悪化した。相談すべき病院に電話はつながらず、パウチの供給も途絶えた。しかし、窮状をつづったブログに励ましの言葉やパウチの供給情報を伝える書き込みが並んだ。仕事仲間や友人からウエットティッシュや医療用タオルなどの支援物資が次々と届いた。震災から1カ月後、長女の小学校の入学式に出席した。医師から「入学式を見届けるのは難しい」と告げられたのが4年前。それが今、弔辞は最前列で背筋を伸ばし、名前を呼ぶ先生を見つめて手を挙げている。長女の姿が、涙でかすんだ。「人とつながっているから生きてこられた。決して独りではない」。そんな思いを伝えたいと、被災したサロンの再開や避難者の支援に奔走している。(朝日新聞・患者を生きる・がんと就労・人工肛門 より)
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