予防接種を受ければ、得なのか。社会全体で考えてみた。国際医療福祉大学の池田俊也教授らは昨年3月、子宮頸がんや小児用肺炎球菌などの7ワクチンについて、予防接種にかかる経費と、接種により削減できるとみられる医療費などを比べた。ワクチンの開発費や値段と、治療費や看病でかかる費用、社会生産性の損失などから推計した。この結果、接種した方が「得」と出たのは、5種類。例えば、水痘ワクチンでは、接種した方が年間362億円も費用が少なくて済むと出た。一方、インフルエンザ菌b型(ヒブ)とB型肝炎ワクチンは思わぬ結果に。ヒブは、医療費などに比べ、接種費用が年間238億円4千万円も多くなる。ワクチンの値段などが影響したようだ。ただ、お金だけで無駄と言い切れるだろうか。ヒブは子どもが感染すると髄膜炎を起こして死亡することもある。池田教授は「ワクチンは先行投資。結果的に節約にならなくても『子どもを救ううために払う』と考えたらどうだろう。お金の損得だけでは語れません」と話す。(11月13日
朝日新聞)