将来、がん細胞は「LDK378」に対する耐性を身につけ、またよみがえってくるかもしれない。そのときのために、クリゾチニブの開発につながった「EML-4ALK融合遺伝子」を発見した東京大医学部の間野博行教授ら全世界の研究者らが、基礎研究を繰り返し、大型コンピューターで遺伝子を解析して新しいがん治療薬に取り組んでいる。まだ論文に発表されていない新しい薬の登場も近いかもしれない。がん研有明病院(東京都江東区)の呼吸器内科の西尾誠人部長は話す。「ある種のがんは、いかに共存するか、の時代なったと言えるかも知れませんね。完全に消えなくても、糖尿病や高血圧と同じように、薬を飲みながら、病気をなだめながら共存していくかっこうです」。女性は「最近、がんが完全に治らなくても、元気に楽しく、家族みんなで暮らせればいいかな、と思うんです」と話す。今春、長男(6)が小学校に入学する。女性は長女(10)のときには着られなかった着物で」出席しようかな、と考えている。(3月7日 朝日新聞 患者を生きる 肺がん より)