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味覚喪失 10年の思い
●「必ず治る」の言葉に勇気 大橋巨泉さんが出演するテレビ番組を偶然見たのは昨年の春でした。舌がんで入院中だった私は、放射線治療による口内炎や味覚障害の副作用に苦しんでいました。巨泉さんは自ら受けた放射線治療と味覚障害の体験をもとに、こう言われました。「今、同じように治療されて苦しんでいる方、本当に大変でしょう。わかります。でも、必ず治ります。がんばってください」。まるで、ベッドの上で苦しむ私のために言ってくれているような言葉でした。私は当時、副作用のあまりのつらさから、医師や看護師の「大丈夫、治りますよ」という励ましにさえ、疑心暗鬼になっていました。巨泉さんの言葉にどれだけ勇気をもらい、前向きな気持になれたことでしょう。今は退院して1年が過ぎ、味覚も回復に向かっております。(埼玉県 女性 71歳) ●毎日の食事楽しめず 味覚と嗅覚をなくして10年になります。結腸がんの治療で抗がん剤を使い始めて3カ月ほどで、いずれも感じなくなりました。抗がん剤の影響ではないかと思っていますが、医師もはっきりとした原因はわからないようです。味覚や嗅覚の喪失は外見からはわからず、そのつらさは他人にはなかなか理解してもらえません。慣れてきたとはいえ不便で、毎日の食事も楽しくありません。味覚と嗅覚がなくなると、それにかかわる記憶も薄れるように思います。「この前行ったあのお店、おいしかったですね」「このお酒、以前もいただきましたね」と言われても、思い出せなかったり覚えてなかったりします。巨泉さんの連載では、放射線治療に伴う味覚の喪失について紹介されていましたが、こうしたことが広く知られることは、とても意義があると思いました。東京都 岩本武史 52歳 (8月11日 朝日新聞 患者を生きる 読者編より)
Aug 26, 2015 07:43
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