乳がんをテーマにした連載には、体験者から入浴や肌着への悩みが届きました。 ●入浴着を着て温泉入ろう 2014年12月に左乳房を全摘しました。ステージ2でした。術後の経過はよく、今年2月からは筋トレ教室、社交ダンス、ウオーキングを復活。がんになった後は「やりたいことはやれるうちに」という考え方に変わりました。ただ、最後まで復活できなかったのが温泉です。乳がんの手術を受けた女性のための入浴着があることを知り、ネットで購入しました。浴槽につけても衛生的に問題がないとされ、手術痕を隠してくれます。温泉側の態度も少しずつ変ってきているようです。信州の温泉の中には、「入浴着の着用を歓迎します」というポスターを貼っているところもあると聞きます。先日行った雲仙の老舗y旅館では、入浴着について「どうぞ、お気になさらずに」と言ってくれました。乳がん患者が声を上げれば、各地の温泉施設で同じようなポスターが見られる日が来るかもしれません。(長崎県 女性 79歳) ●患者用ブラの会社を起業 2011年3月、両乳房の温存手術を受け、ブラジャー選びに大変困りました。リンパ節転移を調べるため、わきにもメスを入れられたので、その傷痕に下着がこすれて痛いのです。多くの乳がん患者が同じ悩みを感じているはずです。しかし、その点を配慮したブラジャーはなかなかありません。大手メーカーに電話や手紙で問い合わせたり、ネットで調べたお店に尋ねたりしましたが、思い通りの製品に出会えませんでした。医師からはワイヤ付きのブラジャーはだめだと言われましたが、皮膚が落ち着けば大丈夫ですし、若い人ならばおそろいのショーツでおしゃれをしたいと思うでしょう。手術後に手が上がらなければ、手を上げずに下から身につけられる下着があればいいのです。乳がん患者の、乳がん患者による、乳がん患者のためのブラジャーが少なすぎます。今年6月、二十数年勤めた会社をやめ、乳がん患者のためのブラジャーの会社を起業しました。京都府 中村真由美 50代 (8月15日 朝日新聞 患者を生きる 読者編より)