●定期検査が重要 私は5年前、超音波検査で右の腎臓にがんが見つかり、摘出手術を受けました。今年1月、左の腎臓にも見つかり、3月に摘出しました。早期の発見で転移もなく、何とか元気にすごしています。私は約10年前から週3回の血液透析を受けています。しかし、「慢性腎不全や人工透析を受けている人は、一般の人と比べて10倍~数十倍も腎臓がんの発生率が高くなる」という情報については、よく知りませんでした。病院で定期的に検査を受けていたため、早期に発見できました。ただ、ハイリスクな透析患者でも、無症状なうちからチェックをしている医療機関は少ないようです。慢性腎不全の患者や透析患者は、自覚症状がなくても定期的な超音波やCTなどの画像検査で腎臓がんのチェックを受けることが極めて大切であることを十分に周知してほしいと思います。(広島県 男性 60歳) ●透析患者のリスク知って 私の夫(58)は、腎不全のため透析療法を始めて8年になります。今年4月、胆石の疑いがあり、近くの病院で数年ぶりに腹部の超音波検査を受けました。その検査で、右の腎臓に腫瘍が見つかりました。総合病院で詳しい検査を受け、腎臓がんと診断されました。7月に腎臓の摘出手術を受けました。周辺のリンパ節への転移が疑われ、現在も抗がん剤での治療を続けています。夫は腎臓がんになっても、血尿や痛みといった自覚症状は何もありませんでした。透析患者に腎臓がんが高率にできることを、私も夫も手術後に初めて知りました。前もってそのような情報を得て、定期的に検査を受けておけば、転移する前に発見できたのではないかと日々後悔しています。全国の数多くの透析患者さんやその家族に、夫と私たち家族の厳しい体験を少しでも役立てて頂ければ幸いです。愛知県 平山真理子 56歳。(10月14日 朝日新聞 患者を生きる 読者編より)