●10年間毎日続けたスクラップ 連載開始の2006年4月から16年3月までの約10年間、毎日記事を切り取り、テーマ別にスクラップにしています。画用紙の表紙に手書きで目次を付けて、小冊子を作ってきました。連載1千回、2千回の時も紹介され、その後も続けています。40冊になりました。薬剤師をしており、顧問を務める栃木県の佐野市民病院の1階にある本棚に、患者さんが閲覧できるように置いてきました。今思えば長い道のりでしたが、「悩める患者さんに最新の医療情報を伝えたい」という思いで、コツコツと実行してきました。自分でも、一日も休まずによくやってきたと思います。一人の医療人として、学習のためでもあったかもしれません。10年前と比べて、インターネットが普及したことで情報過多になり、患者さんが迷うことも多いと感じます。なおさら、正しい情報を伝えていく必要性を感じます。(栃木県 小野正弘 77歳) ●患者の姿に力づけられた 初めて乳がんと診断されてもうすぐ10年、転移が見つかってから3年になります。患者でありながら力強く生きる人の姿が道しるべになり、自分を重ね、まだまだ頑張ろうと心に語りかけています。脳、骨、肺に転移し、放射線治療装置「ガンマナイフ」による4回の治療結果は良好ですが、肺は化学療法中です。治療や病気の影響で、視野が欠ける「半盲」や、歩行困難になり、車いすを使う生活です。「何のために生きるのか」と思うこともあります。でも、泣いていてよくなるわけではありません。以前から旅が大好きで、「行けるときに行かないと後悔する」と思い、今年3月にはシンガポールを旅行しました。出発前は不安もありましたが、人の親切を感じ、生きる喜びになりました。意志あれば道通じる。家にこもらず、一歩外に出たほうが気持が良い。「あなたが元気だから私もがんばれる」と話すがんの友達のためにも、明るき生きて行こうと思います。(長野県 松橋啓子 67歳) 4月6日 朝日新聞 患者を生きる がん 読者編より