がん研究会(東京都江東区)は31日、人工知能(AI)が患者の遺伝子情報などを元に、最適な治療法を提示し、医師の診断を支援する仕組みを開発すると発表した。AIによるデータ解析を手がけるFRONTEOヘルスケア社との共同で、2019年にまず肺がんと乳がんで臨床研究を始め、2021年末までの実用化をめざす。同会は昨年10月、一人ひとりの患者に合わせ、最適な治療の提供を研究する「がんプレシジョン医療研究センター」を設立。共同研究では、同社独自の技術を使い、医師らが信頼度が高いと判断した論文を集中的に学習させ、AIの精度を高める。その上で、AIが患者のがんの遺伝子情報などの臨床データから学習した論文を根拠に、最適な抗がん剤などの治療法を提案し、支援するという仕組み。2022年以降はほかのがんにも広げる計画だ。医師による患者へのインフォームド・コンセントをAIが支援する仕組みも開発する。患者との会話の中でAIが理解度を判断し、それに応じて動画も使いながら説明するという。がん医療でのAI活用では、東京大医科学研究所や国立がん研究センターも、患者の治療に役立てる仕組みの研究開発を進めている。(2月1日 朝日新聞)