エコー併用 弱点補う
マンモではやわらかい脂肪は黒く、硬い乳腺は白く写る。腫瘍のしこりも白く写るため、中村清吾・昭和大教授(乳腺外科)は「乳腺が発達しているほど画像が白く見え、乳腺の白い影に隠れてがんを見つけにくい」と話す。そこで検診の新たな選択肢として、マンモとエコーの併用が期待されている。エコーでは腫瘍が黒く、乳腺が白く写る。40代の日本女性7万6千人が対象の大規模調査で、両方を併用した場合、マンモだけより乳がん発見率が1.5倍になった。研究リーダーの大内憲明・東北大教授(乳腺・内分泌外科)は「併用でエコーがマンモの弱点を補う可能性が指摘された。ただ死亡率を減らせるかどうかの検証はこれから」と話す。がんが見つかっても結果的に治療が不要だったり、精密検査でがんでないとわかったりすることがある。今のところ、国はエコーを推奨しておらず、一部自治体を除き、希望者は基本的に全額自己負担だ。(3月8日 朝日新聞)
がん検診 マンモに限界
女性がかかるがんの中で最も多い乳がん。早期発見のカギを握るのが検診だが、国が40歳以上の女性にすすめる乳房X線撮影(マンモグラフィー)だけでは異常を見つけにくい。乳腺の密度が高い「高濃度乳房」が日本人女性に多いためだ。川崎市の風間沙織さん(52)は10年以上マンモグラフィー検診を受けていた。「異常なし」の結果が続き、安心していた。妹が乳がんになった3年前、マンモと超音波(エコー)の検査を両方受けた。医師はマンモの画像を見て「これではよく見えないね」。エコー検査で左胸に約1.7センチの腫瘍が見つかり、病理検査でがんと確定、手術で全部摘出した。後で自分の乳房が「不均一高濃度」と知った。乳房内は母乳を作る乳腺が張り巡らされ、乳腺密度が高い順に、「高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」の4段階に分類される。「高濃度」と「不均一高濃度」は日本人の約5~8割とされる。(3月8日 朝日新聞)
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