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抗がん剤 再発予防にも 3
がんが胃壁深くに達したり、肝臓や肺など遠方への転移があったりすると進行がんと呼ばれるが、遠方の転移がない場合は、手術で患部と周囲のリンパ節を取り除き、術後に再発予防のため抗がん剤を使う。かつては有効な薬がなかったが、「TS1」という抗がん剤だと延命効果があることが2007年に報告され、ガイドラインでも推奨されることになった。TS1は飲み薬なので自宅で服用でき、副作用も比較的少ない。1年間続けて、以後は経過を見守り、5年間再発がなければ完治とみなされる。遠方に転移した段階になると、手術ができないことも多い。TS1と「シスプラチン」という抗がん剤の併用が基本になる。乳がん治療薬「ハーセプチン」が、ある種の胃がんに効くこともわかってきた。国立がん研究センター東病院の大津敦・臨床開発センター長は「欧米で胃がんが少ないこともあり、最先端の抗がん剤の開発は他のがんより遅れている。薬の組み合わせや手術前の使用など、研究の成果が待たれる」と話している。(4月21日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
抗がん剤 再発予防にも 2
日本胃癌学界のガイドラインは「リンパ節転移がなく、がんも小さい」などの条件を満たせば、口から内視鏡を入れて取ることを標準治療としている。腹部にあけた小さい切れ目から内視鏡と手術器具を入れる「腹腔鏡手術」も、開腹手術より患者の負担が小さいので、試みる医療機関が増えている。ただ、ガイドラインでは「日常診療として推奨されるには至っていない」とし、研究段階の治療法と位置付けている。(4月21日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
抗がん剤 再発予防にも
新たに胃がんが見つかる人は年間12万人強(2008年、国立がん研究センター推計)で、がんの中で一番多い。死亡者数も、肺がんに次ぐ約5万人(11年、人口動態統計)にのぼる。ただ、診断法の進歩で早期発見が増え、治療成績は上がってきた。「全体の半分は早期で見つかり、その95%は治る」。がん研有明病院の山口俊晴副院長(消化器外科)は言う。早期のがんは、胃の内側にできたがんが、下の筋肉にまで広がっていないものを指す。リンパ節への転移が比較的少なく、手術で切り取った後、抗がん剤治療は原則として不要だ。(4月21日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
「向き合う」ファイト湧く 3
薬を朝晩のみながら、通勤を再開した。昼食は小ぶりな愛妻弁当をゆっくり食べる。午前午後に自席でパンやビスケットなどの軽食をはさむ。仕事がらみの会食は、辞退したいと周囲に伝えた。薬を始めて4週目、少し副作用が出てきた。食欲がなく、無理をしたら吐きそうな感じだ。服用を2週間休み、また4週間。この繰り返しを1年続ける。先の結果は分からない。しかし「病気に向き合うということは、大きな責任ある仕事を決めていくプロセスと同じだ」と思うと、ファイトが沸く。4月で、社内の重い役職を離れた。できた時間でジム通いを再開したいし、落語の寄席にも行きたい。がんを完全に忘れた生活には、もう戻れないだろう。闘病日誌は、表紙に「1」と番号が振ってある。2も3も、その先も書く覚悟だ。(4月20日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
「向き合う」ファイト湧く 2
がんの深さと転移とで判定する進行度は「ステージⅡB」。早期がんではないが、進行がんの中では軽い段階だ。山口さんは「医学会の治療方針に沿えば、1年間の抗がん剤治療が望ましい。5年後の生存率が高くなるので、やった方が無難かと思います」と告げた。抗がん剤と聞いて、十数年前に親類をがんで亡くしたときの、副作用に苦しむ様子が記憶によみがえった。しかし、いま使われている「TS1」という内服薬は、入院の必要がないし副作用も少ないという説明だった。それなら仕事にも差し障りない、と同意した。(4月20日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
「向き合う」ファイト湧く
手術を1月に終え、退院後初の診察は2月14日。東京都内の会社役員の男性(65)は、がん研有明病院の主治医の山口俊晴さん(64)に、切除した胃の写真を見せてもらった。がんは直径約3センチ。胃袋の内側の粘膜から筋肉の層へと根を下ろし、外側表面に近い膜にまで達していた。「皮一枚で中にとどまっていた」と山口さん。場所が胃の入り口に近く、手術で取ると、胃酸が食道に逆流するのを防ぐ機能が失われる。胃の下半分を残すと、かえってつらい症状に苦しむことになるため、全摘となった。腹部から摘出したリンパ節55個のうち、2個からがん細胞が見つかった。そう多くはないものの、転移はしていた。(4月20日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
胃全摘の翌月 酒飲めた
自宅に戻り、その日から外の散歩を始めた。まずは妻の買い物に同行して、近所のスーパーまで。次の日も自宅の周辺を歩いた。下痢が続いていたので、使えるトイレがある場所を頭の中で確認しながら、元の生活を取り戻すためにと一歩づつを踏みしめた。体を動かしても、以前の空腹感は戻ってこない。体力を維持するために、義務感で食べた。手術から1カ月たった2月11日、お祝いに大吟醸を試してみた。小さなおちょこに1杯。翌日は妻に「もうちょっと大きめのおちょこあったよね」とリクエストして、今度は2杯。手術は成功した。でも、まだ完治とは言えない。抗がん剤の治療が待っていた。(4月19日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
胃全摘の翌月 退院
術後11日目の1月22日、がん研有明病院を退院。傷口の痛みはもうないが、おなか周りが10センチ縮んで、心細い感じがする。ジム通いで鍛えた筋肉も、すっかり落ちていた。病院の管理栄養士による指導には、妻(65)に同席してもらった。「消化が悪いものを避け、ゆっくり食べること」。一度の食事を少量にして回数を増やす。そうでないと食べた物が逆流してしまう。縫い合わせた消化管は数カ月むくんで狭くなっているので、食後30分は安静にする・・・。チェックリストは15項目あった。
胃全摘後
胃を全て摘出する手術を受けた翌朝、水を飲むように言われて、東京都内の会社役員の男性(65)は戸惑った。傷口から漏れることはないのだろうか。ほんの少し飲み込んで、脇腹から伸びるドレーン管を見た。手術後に腹の中の体液を出すため、しばらくつけているチューブ。漏れていないか確認したのだが、それを見た看護師は、大丈夫ですよと笑った。術後3日目くらいから、たんがからむようになった。腹の空洞に響くような痛みで、うまくせきができず、息をするたび胸がぜーぜーと鳴り、ひどく苦しい。術前の呼吸訓練の意味を、このときに痛感した。食事は徐々におかゆの粒が形になってきた。尿の管、次にドレーン管を抜き、真っ黒な便が出て、抜糸の日がきた。入院中の出来事は、標準的な日程表を事前に渡されていた。先が見えるのが心強かった。(4月19日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
手術が終わって
翌朝6時。病室の電灯がつき、看護師が「歯磨きに行きましょう」と、体中に貼り付けられた管やコードをベッドの片側に寄せ始めた。電動ベッドの背中を起こし、ゆっくり足を床におろされる。スリッパをはき、おなかを抱えながら立ち上がり、一歩を踏み出す。傷は痛くない。回復を早めるために、なるべく歩いてと促される。ほどなく水を1杯出された。「傷口から漏れることって、ないですか」。口をつける前に看護師に尋ねた。(4月18日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
手術「マラソンみたい」
手術台は、幅がえらく狭く見えた。枕元の麻酔科の医師が、背骨の中心を包む「硬膜」の外側に麻酔薬を注入する、と説明した。口にマスクを当てられ、意識が遠のいた。看護師に揺り起こされて目を開けると、「パパ、わかる?」とのぞき込む妻の顔が見えた。全身がへとへとで、「フルマラソンを走ったみたいだ」と口からこぼれた。4時間の手術だったと妻が教えてくれた。執刀医の山口さんが「無事終わりましたよ」と声をかけてくれたが、もうろうとして、会話はよく覚えていない。ただ、血液が固まらないようにマッサージする装置が、筋肉質の足首にはきつすぎた。苦しくて一晩中眠れなかった。(4月18日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
検査の結果、手術
昨年末に胃がんと告知さtrた東京都内の会社役員男性(65)は1月3日、がん研有明病院の主治医・山口俊晴さんから電話をもらった。「検査の結果、がんが胃の入り口のところにある。胃を全部摘出することになる可能性が大です」。近くのリンパ節も腫れているという。すでに腹は決めていた。「先生の思う通りにお願いします」。電話を持ったまま頭を下げた。手術は11日と決まった。9日に入院。胃の手術なのに、まず呼吸の練習をするという。プラスチックの器具を口にくわえ、息を吸い続ける。全身麻酔の後は肺の機能が落ちるため、訓練するのだと説明された。病室で好きな落語とジャズを聴きながら、黙々と繰り返した。当日。妻(65)と長女(37)と、手術室の控室前で別れた。海外駐在員時代の習慣で、軽く抱き合い「行ってきます」と告げた。(4月18日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
がん研有明病院で検査
採血や心電図、転移の有無を調べるCT検査を受けた。食事をしてしまったため、胃カメラは1週間後。結果と今後の方針は、年明けに電話で知らせてもらうことになった。年末年始は、「強いお酒でなければ飲んでも構わない」と山口さんに言われた。海外から帰国した長女(37)を交え、初詣や墓参りをして過ごした。運動は積極的にと勧められたので、学生時代から続けてきた毎日5~10キロのジョギングをと思ったが、妻は反対した。「汗をかいて風邪をひかれたら困ります。体調万全で入院させるのが私の仕事です」。心遣いが、ありがたかった。代わりに1日3時間づつ歩いた。1月3日の午後、電話が鳴った。病院からだった。(4月17日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
がん研有明病院受診
翌12月20日朝、がん研有明病院。広い待合室で妻(65)と2人、「こんなに患者さんが多いんだね」と、ぽつりぽつりと言葉を交わしながら待った。昼近くにサンドイッチを買って食べたが、味はしなかった。診察室に呼ばれた。副院長で消化器センター長の山口俊晴さん(64)がいた。紹介状と検診施設の検査結果を渡すと、「胃の上部にがんがあるようですね」。検査をやり直してチームで治療方針を立てる、と説明した山口さんは、最後にこう付け加えた。「仕事は続けて下さい。通常の生活に戻ることが治療の目的ですから」。(4月17日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
入院控え 会社でも準備
昨年12月の定期検診で胃がんが見つかり、海外出張先で連絡を受けた東京都の会社役員の男性(65)は、帰国してすぐに入院の準備に取りかかった。まず社長に事情を報告。次に会社の産業医にアドバイスを求めた。「胃がんの手術症例が多いのは、がん研有明病院(東京)です」と聞き、紹介状を書いてもらった。大きな病気も手術も初めてだった。どれだけ入院することになるのか見当もつかない。病院に行く前に1日空けて、会社で引継ぎを済ませた。取引先にも足を運び、電子メールを書いた。夕刻、社内の電子掲示板に「病気療養のため当分休む」と業務連絡が流れた。部下を会議室に集めて言った。「病気というのは胃がんだ。言いふらす必要はないが、聞かれたら言ってくれてもいい」。(4月17日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
検査室 走る緊張に覚悟 3
過去に要精密検査とされた時は、結局問題がなかった。今回だって、大丈夫かも・・・・・。悩んでも仕方がないと、仕事に没頭することにした。翌週は上海出張。帰国当日の朝、滞在先のホテルで携帯電話が鳴った。「がん細胞が見つかりました」。悪い報告が上がってきたときこそ、冷静に事情をすべて聞き出す・・・・そんな仕事の習いから、必要なことを淡々と聞き取っている自分がいた。帰りの機内。出張報告には手をつけず、腕組みで目を閉じた。羽田空港の入国審査を終えて、妻(65)に電話をかけた。「座って聞いてくれるか。がんだった。とにかく頑張るから、心配しないで」。(4月16日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
検査室 走る緊張に覚悟 2
大手総合商社に勤め、国内外を飛び回ってきた。接待で夕食が2度なんてこともざら。会社の検診で胃潰瘍の痕が見つかっても、商社マンの勲章くらいに思っていた。50歳になって赴任したニューヨークでは、胃カメラの検査を毎年受けた。5年後に帰国してからも、胃の検査は欠かさなかった。60歳を前に、胃がんの一因になるというピロリ菌も除菌した。一安心だと思っていた。ただ一昨年だけ、多忙のため検診をさぼっていた。人間ドックの休憩室から診察室に戻ると、医師が写真を示しながら言った。「ここがちょっと気になりますね」。胃の内壁が、複雑な形で盛り上がっているのが見えた。「悪性腫瘍ですか」と尋ねると「その可能性が、かなりあると思います」。採取した細胞の検査結果が1週間後にわかる、という。 (4月16日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
検査室 走る緊張に覚悟
「あらっ。何かできてますね」。昨年12月「、定期健康診断で訪れた人間ドック施設で、胃カメラをのみ込んでいた東京都内の会社役員の男性(65)は、医師の一言で検査室内に緊張が走るのを感じた。「つまみます、よろしいですね」。事前に、必要なら胃の組織を採って検査することに同意していた。親指を立ててOKサインを送ると、医師は器具を操作し、「もう1回採ります。ちょっと我慢してください」と続けた。スタッフが慌しく動き回る気配がした。過去に経験した検診とは様子が違う。「これは覚悟せんといかんのかな」。目を閉じて思った。(4月16日 朝日新聞 患者を生きる 消化器 胃がん より)
ピロリ菌
正式名はヘリコバクター・ピロリ。人などの胃の粘膜にすみつく病菌。慢性胃炎や胃、十二指腸潰瘍、胃がんの発生原因となる。胃酸で強い酸性となる胃の中では、細菌は生息できないと考えられてきたが、1982年、オーストラリアのロビン・ウオーレンとバリー・マーシャルがピロリ菌の培養に成功。マーシャルは、培養した菌を自ら飲んで胃潰瘍を発症し、病原性を証明した。この功績で二人は、2005年のノーベル医学生理学賞を受賞した。(2月9日 朝日新聞)
抗生物質飲みしっかり治療 2
除菌が失敗するのは、患者が下痢や腹痛などの副作用で、きちんと薬を飲まないケース。また、クラリスロマイシンに耐性を持つピロリ菌がいるためだ。最近は成功率が下がる傾向があり、耐性菌が増えているのでは、という指摘がある。除菌が失敗した場合、薬の種類を変えて再び除菌療法を行う。古賀教授によると、除菌の成功率を高めるには「薬を飲む3~4週間前にヨーグルトを食べる、という方法があります」という。特定の菌株のヨーグルトには、ピロリ菌の抑制効果があることが分かっている。同大の高木敦司教授らの研究で、除菌の3週間前からこのヨーグルトを1日180グラム食べると、除菌の成功率が12%程度高くなった。また、耐性菌を持つ患者でみると、約15%だった成功率が50%以上に。「このヨーグルトが耐性菌に対しても効果があるということを示しています」。ピロリ除菌後に胃酸が増えて、胸焼けなどを起こす逆流性食道炎の症状が出る場合がある。「その際にもヨーグルトを食べることで症状が抑えられる効果も期待できる」と古賀教授は話す。(2月9日 朝日新聞)
抗生物質飲みしっかり治療
ピロリ菌の除菌治療はこれまで、胃・十二指腸潰瘍や早期胃がんの治療後など、4種類の疾患で保険適用されていた。ピロリ菌がいても、そうした病気がない場合の除菌は自費診療となり数万円必要だった。だが近く、胃のもたれの不快感といった症状の「慢性胃炎」と診断されれば、保険で受けられるようになる。実際の除菌治療では、「アモキシシリン」「クラリスロマイシン」の2種類の抗生物質と、胃酸を抑える1日2回、7日間飲む。4週間以上あとに、除菌できたかどうかを検査する。東海大学医学部の古賀泰裕教授によると、「最初の治療で除菌できるのは、70%程度」という。(2月9日 朝日新聞)
50大以上の感染率は80% 2
2008年には、「除菌をすれば胃がんの発生が3分に1になる」と発表された。日本ヘリコバクター学会は2009年、胃がん予防のために除菌を勧める指針を出した。ピロリ菌は世界中に存在する細菌だ。50代以上の日本人では特に感染率が高く、80%程度という。多くの人は5歳までの子どもの頃に井戸水や便、感染者からピロリ菌に感染。ピロリ菌が、胃の粘膜に定着すると胃炎になる。この状態から長い年月をかけて一部が胃潰瘍や胃がんに変化すると考えられている。「ただし、ピロリ菌だけでなく、たばこや、塩分などの食生活が胃がんのリスクを高めます」と春間教授。感染経路は特定できない場合が多い。子どもは、ピロリ菌を持った親から感染するケースもある。春間教授は「中高年はもちろん、胃がんになった場合に進行が早い若い人も、一度は検査をしてほしい」と呼びかけている。(2月9日 朝日新聞)
50代以上の感染率は80%
川崎医科大学(岡山県倉敷市)消化器センター長の春間賢教授は「例えば高校を卒業した時に、ピロリ菌の感染検査と除菌治療をする。こんな方法で除菌が広がれば、胃がんの数は激減するはずだ」と話す。春間教授によると、「日本人で胃がんの人はほとんどピロリ菌に感染している」という。「29歳以下の感染率は約30%と低いが、その世代で胃がんになった人の9割以上に感染がある」。ピロリ菌と胃がんの関係は長年研究されてきた。2001年に発表された日本人を対象とした調査では、約1万5千人でピロリ菌感染の有無を調べ、10年間追跡した。その結果、感染していた人の3%が胃がんになり、感染していなかった人では1人もいなかった。(2月9日 朝日新聞)
胃がん予防
胃がんや胃潰瘍の大きな原因とされるピロリ菌。胃潰瘍などの病気がさければ胃からの除菌はこれまで公的保険の対象ではなかったが、軽い胃炎でも保険適用が認められる見通しになった。日本人に多い胃がんが劇的に減るのではないかと期待がかかる。がんのなかでも日本人に最も多い胃がんの患者は、約21万人とされ、年間約5万人が亡くなる。胃がんは、がんの死因では2位だ。(2月9日 朝日新聞)
トラスツズマブが効く仕組み
がん細胞のHER2たんぱく(センサー)は、がん細胞が増えるよう信号を出す。これに、トラスツズバブを打つと、センサーに結合し、がん細胞の増殖を抑える。そして、免疫細胞ががん細胞を破壊する。おおきながんだったのが、縮小する。副作用として、トラスツブマズは、さむけ、発熱、息切れや脈が速くなるなど心臓への影響がある。シスプラチンは、吐き気、下痢、白血球の減少、腎臓の機能低下などがある。カペシタビンは、シスプラチンの副作用に加え、手足の痛みがある。全般の副作用として、息切れ、頭痛、脱力感がある。(8月28日 朝日新聞)
まずは検査を
国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)では今年4月までの約1年で、117人の胃がん患者の17%、20人が、この薬が使えるタイプだった。トラスツズマブなどで治療できた13人のうち4人は腫瘍が縮小し、根治につながる手術ができたという。土井俊彦・消化管内科副科長は「この薬が使えるがんか判定する検査を十分にしていない医療機関もある。がんのタイプにより、再発後も効く薬があるので、検査を受けたいと、主治医に伝えて欲しい」と話している。(8月28日 朝日新聞)
トラスツズマブ
聖マリアンナ医科大(川崎市)の朴成和教授(臨床腫瘍学)は「トラスツズマブはここ5年で、唯一、胃がんの生存期間を延ばした薬だ」という。この薬が効くタイプの胃がんか、治療前に判定できる。検査や手術でとったがん組織のHER2たんぱく量やたんぱくを作るもとになる遺伝子の量を調べる。ただ、アレルギーのような症状や、息切れや脈が速くなるなどの副作用がある。併用する抗がん剤の副作用に吐き気や腎機能の低下などがあり、腎臓病患者などには使いにくい。(8月28日 朝日新聞)
患者の2割弱
トラスツズマブは、がんの成長を促すHER2というたんぱく質と結合し、がんが大きくなるのを抑える。HER2が多いがんに有効だ。このタイプは、胃がんの2割弱という。日本人も参加した国際共同臨床試験で、以前からある抗がん剤、カペシタビンとシスプラチンの2剤の治療と、トラスツズマブを加えた3剤による治療を比べた。HER2が多い患者の全生存期間の中央値は、2剤の治療では、11.8カ月だったが、3剤では16カ月と、生存期間が延びている。以前は、打つ手がなかったような人でも、生活の質を保ったまま過ごせる例も出ている。(8月28日 朝日新聞)
手術が可能に
神奈川県鎌倉市の女性(54)は昨年10月、検診で胃がんが見つかった。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で診てもらうと、腫瘍は6センチ。腹膜やリンパにも広がり、手術はできないと説明された。検査を受けると、トラスツズマブ(商品名・ハーセプチン)という分子標的薬が有効なタイプのがんとわかった。11月、この薬を含む化学療法を始めた。3週間1コースの治療を3コース終えた今年1月下旬、腫瘍は小さくなり、医師から「手術できる状態になりました」と言われた。2月下旬、胃や脾臓をとる手術を受け、10日後に退院。女性は「この薬が効くタイプでなければ、今ごろどうなっていたか。ラッキーでした」と話す。がんの進行は抑えられ、現在、日常生活を送っている。(8月28日 朝日新聞)
胃がんにも分子標的薬
がん細胞をねらって攻撃する新しいタイプの抗がん剤、分子標的薬が、胃がん患者でも治療効果を上げつつある。手術できないほど進行したり、再発したりした患者が対象だ。がんのタイプを調べて、効果的な治療法を選べるようになってきている。(8月28日 朝日新聞)
胃がん検診はいつ受ける?
胃がんは40歳以上では検診を受けるのがいいです。X線検査より、早期のがんが分かりやすい内視鏡検査を勧めます。ピロリ菌の除菌は早ければ早いほどよいです。胃がんへの危険性はさらに少なくなります。母子感染を考えると、出産前に一度確認するのがいいと思います。(朝日新聞)
胃がんとピロリ菌
ピロリ菌についての質問です。便の検査で陽性だったのが、呼気の検査で陰性でした。どちらの結果を信用すればいいですか。どちらかが陽性ならば陽性ととらえていいです。内視鏡検査を受け、萎縮があれば年に1回は継続して検査を受けるべきです。(朝日新聞)
胃がんで命を落とさないためには
検診で、胃の粘膜にとどまる早期の段階でがんを見つけることができれば、内視鏡でがんの部分を切り取ることができます。最近は直径10センチもある大きながんでも、早期なら内視鏡で取れます。ピロリ菌に感染していないなら、胃がんになる危険性は低いです。念のために40~50歳の間に一度、内視鏡検査を受け、胃の萎縮がなくきれいな状態なら、その後の検査は必要ないくらいです。しかし、感染していたら必ず内視鏡検査を受け除菌する。取り除いても、その後も定期的に検診をしないといけません。そうすれば、胃がんでは命を落とすことはありません。(朝日新聞)
胃がんはどうやって感染する?
ピロリ菌に感染したお母さんが、赤ちゃんに口移しで食事を与えていたことが原因の一つと考えられています。感染している子どもの嘔吐物などが口に入って感染することも考えられます。昔、内視鏡の洗浄が不十分なまま検査して感染した例もありました。内視鏡検査では胃の組織の一部を取ってピロリ菌の酵素などを調べます。内視鏡を用いない検査では呼気に含まれる成分を調べたり、血中または尿中のピロリ菌の抗体を調べたりします。便を調べる方法もあります。内視鏡による胃がん検診は、X線で見ることができない細かい病変も見ることができます。できれば、内視鏡の検査を受けるのがよいと思います。(朝日新聞)
ピロリ菌除菌で予防可能
胃がんはピロリ菌が胃の中に巣くって、感染が続くことで発症します。最近の研究で、ピロリ菌の中にはいろいろな毒素を持った菌がいて、その毒素が胃がんの発症にかかわっていることがわかっていました。ピロリ菌は子どもの頃に感染します。5歳ぐらいまでの間に感染して定着すると、除菌しない限りずっと胃の中に巣くいます。日本は衛生環境が良くなってきて感染率が低くなってきていますが、50年前は10代でも約8割が感染していました。(朝日新聞)
◆胃がん
胃がんは、昔から日本が「世界一多い国」というレッテルをずっと張られています。男性では死者は肺がんに次いで、女性も大腸がん、肺がんに次いで多いです。しかし、男女とも胃がんによる死者は昔にくらべると減っています。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染者が減っているのが大きな理由の一つです。ピロリ菌を除菌して検診を受ければ、多くの人は胃がんで命を落とさずに済む、予防可能ながんです。しかし、予防の意識がまだ浸透していません。胃がん検診の受診率は低いのが現状です。検診で早期にがんを見つけられないと、治すことができません。続く・・・。(朝日新聞)
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