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2020年3月4日 (水)
カテゴリ:進行中の就職話立ち消え
東京都の緩和ケア医、行田泰明さん(59)は2014年4月、がん研有明病院で食道がんの手術を受けた。一連の治療を終えて6月に退院してからは、自宅で家事の手伝いをしつつ、毎日3~6キロほど家の周囲を歩いた。がんの再発や転移がないか、定期的に病院に通い、検査を受けた。以前、担当した患者が口にしていた言葉を思い出した。検査の結果を聞くときは、裁判官から判決を言い渡されるような気持ちになると。実刑か、それとも執行猶予となるのか。確かに、そんな感じがした。5年生存率は40%といわれていた。統計的な数値は医学にとっては重要だ。でも、患者にとっては意味はないんだな。身をもって感じた。自分が再発するのか、しないのか。大事なのはそれだけだ。あちこちの神社仏閣に行き、お守りを買い集めた。すがるというほどあてにはしていないけれど、やっておいても損はない。そんな気持ちだった。同じ思いで、がんの再発予防を目的とした免疫療法の一つ、がんワクチンを自費診療で受けた。効果があるという科学的な根拠はなく、自身も以前はこうした手法に否定的だった。でも、患者の立場になって、受けてもいいのではと考えるようになっていた。手術を担当したがん研有明病院消火器外科部長の渡辺雅之さん(55)に相談すると、「効果がない可能性も十分に理解されているようなので」として同意してくれた。注射を複数回受けたが、効果があったのかはわからない。10月、フランスへ8日間の旅に出た。下痢などの手術の後遺症は続いていた。でも、「がんに負けたくない」。旅を、社会復帰への区切りにもしたかった。都内の診療所を3月に辞め、無職の状態だった。緩和ケア医のあいだで名前の知られた行田さんは、都内の別の病院への就職が決まりかけていたが、がんの発覚で延期になっていた。帰国後、病院の関係者に連絡した。がんの手術を受け、経過観察中だと告げると、それまでの話は止まってしまった。きっと、正式採用のあとで再発したら支障があると受けとめられたのだろう。そう考えて、あきらめた。2月26日 朝日新聞 患者を生きる 緩和ケア医のがん3より
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