「在宅ホスピスのすすめ」など緩和ケアに関する本を出版している木星舎の古野たづ子さんが、自身でも看取りを経験された。90歳で亡くなったお父様は、前立腺がんが4年前に見つかったとき、既に骨にも転移していたが、ホルモン療法と疼痛を抑える薬によって、杖と椅子を頼りにメサイアの合唱に加わったりもしていた。痛みが増し、起き上がれなくなってからの三週間の在宅ホスピスは、長年連れ添った妻和子さん(83)を独りにはできないという強い思いから、ご自分が決断された。九州で初めての公団住宅曙団地(福岡市早良区)に1956年の完成ととに入居。建て替えられてからも住み、リビングで最期を迎えた。お昼が近づき、口を湿らせようとしたたづ子さんが、「あ、お父ちゃん逝ったみたい」とつぶやいたとき、和子さんはいつものようにベランダで、洗濯物を手にしていたという。(西日本新聞)