《中国・北京の人民大会堂でのコンサートを約1カ月後に控えた10月1日に、手術で乳房の一部を摘出することが決まった》 矢形:手術は大イベントですが、実は治療の中で一番短い。その後の放射線治療は1カ月。抗がん剤をするなら半年。さらにホルモン剤を使った治療は5年。非常に長いスパンで治療を考えます。アグネスさんの場合、最初から本人が「必要な治療はすべてきちんと受けます」と言ってくれました。真剣な様子に、がんと闘うのだなと感じました。乳がんには、標準的な治療方法が確立されているのですが、患者さんにとっては未知の世界。乳房の摘出に迷ったり、抗がん剤の治療が必要と聞いて落ち込んだり、向き合うのに時間がかかることも多いです。 アグネス:手術をいつにするか話し合ったときに、10月末のコンサートは絶対にやりたいんだと伝えた。その前に手術するのかどうかは、私たちが選択しました。手術後、先生が、「僕はピンクリボンの日に手術をしたので、病室からピンク色の東京タワーを見せたかった」と。なんてすてきなことなんだろう、そんな日に手術できたなんてと思った。私はサバイバー(生存者)になるんだと。(朝日新聞)