PETのがん検診(保険適用外)は2003年~2005年に3倍に急増し月間6千件を数えた。しかし、その後は5千件前後で推移し、そう増えてはいない。2006年にはPETはがんの大半を見落とす、との報道もあった。焦点となったのは、国立がんセンターの検診データ。他の画像診断や内視鏡など、各手法を駆使した手厚い検診で約3千人から見つかった129個のがんのうち、PETが検知したのは28個だけだった。担当者は「ほかの検査では通常は余り見つからない緊急性の低いがんも多かった。それで相対的にPETの成績が落ちた」と分析する。横浜市立大などが、国内のPETを併用した検診結果を検証したところ、大腸、甲状腺、肺、乳がんで、PETが検知しなかったがんは2割以下にとどまる。前立腺と胃は6割以上だが、同大の井上登美夫教授は「大腸などは個別に臓器を調べるほかの検診方法より成績はそう劣らない。さらにPETには全身を一度に見られる利点もある。万能な検診手法はなく、PETとその弱点を補う別の手法を合わせるのが大事」という。(朝日新聞)