「がんの告知を受けた時に頭が真っ白になりませんでしたか。『そんなわけはない』と思ったり『がんと闘っていこう』と前向きになったり。時間をかけて病気を受け入れる。それが適応です」と久保田医師。「不安、うつ状態、不眠になることもありますが、この段階なら親しい人に相談などして回復できます。でもうつ病に進むと、その治療に時間がかかってしまいます。食欲不振や肩こりなど体の症状が表れる『仮面うつ病』もあるので要注意です」 久保田さんの話を受けて再び患者同士の話が弾む。「自分の病気より職場や家族の生活のことが気になった。かえってそれがよかったかも」 「ボーっとしたり、涙が出たりするときもあった」 1時間はあっという間だ。複式呼吸などでリラックスしてミーティングが終わる。グループ療法では、そこで話したことは外には漏れないから安心して本音を出せる。一人では気付かなかった解決法が身つかることもある。院長の上尾さんは「乳がん専門施設だから、こうした手法を取り入れやすいのかもしれない」と話す。一般の病院と違い、患者は全員が乳がんを患った女性なので連帯感が生まれやすい。2002年の開院直後から、手術室に入る患者を励まそうと、患者中間が並んで見送るのが恒例になっているほどだ。(朝日新聞)