◆気がかりな肺の影
だが肝心の病状は芳しくなかった。肺炎の症状が消え、ようやく抗がん剤の投与が始まったのは、入院20日目の8月3日。のちに政権交代が実現する歴史的な衆院選が目前に迫っていた。今回の抗がん剤治療は、投与を始めた時から吐き気がきつく、何度もトイレに行き、しゃがみ込んで便器につかまるような日々が続いた。食事がのどを通らず、体重は入院時から8キロも減った。飲み物も飲めず、いかに水分を取るかで苦労した。白血球の数値が下がって免疫力が落ちる骨髄抑制も再び起こった。約1週間だるさにさいなまれたが、ようやく正常域に戻り、何とか元気を取り戻したのは21日。衆院選投票日の3日前の27日に退院し、福岡の来て初めての国政選挙で、どうにか自分の足で投票することができた。だが、私の心はなお晴れていなかった。「肺に小さな影」と言われたことが引っかかっていた。 続く・・・。(朝日新聞・おじさん記者のがん闘病記より)
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