「お父ちゃんは、最期まで全力疾走だった」。千葉県銚子市の食品卸会社社長、桜井公恵さん(47)は、夫雄二さんの6年余りの闘病をそう振り返る。2010年8月、44歳で亡くなった雄二さんは、公恵さんと長女誉子さん(18)、長男誠大さん(16)に宛てて手紙を残していた。誠大さんには、A4に2枚。びっしりと文字がしたためられていた。(中略)陽気でよくしゃべる人だった。公恵さんと結婚して、桜井家が営む食品卸会社で一緒に働いた。効果が科学的に確認されている「標準治療」が終わっても新たな治療法がないか調べ、医師に相談して治療を続けた。完治が難しい中、厳しい選択の連続だった。公恵さんは今、思う。「手紙のこの部分は、治療に臨んだお父ちゃんの姿勢そのものだ」。(2月17日 朝日新聞