医療費の患者負担を減らすため、所得に応じて一定の上限を設け、窓口負担との差額を支給する。差額ベッド代や食費などは、対象にならない。入院期間が1カ月間でも、月をまたぐ場合は、月ごとに計算する。「がんと診断されたら暮らしを支えるバランスの見直しが必要です」。こう話すのはNPO法人「がんと暮らしを考える会」理事長で看護師の賢見卓也さん。治療で仕事を休まなければならないこともあり、収入は大幅に減る人が多いという。一方、治療費や入院費、通院の交通費など新たな支出が加わるため、貯金の切り崩しやがん保険からの給付で補い、食費や貯蓄などを削ってやりくりすることになる。治療を受けながら経済的に安心して暮らしていくには、公的・民間の保険や疾病手当金、障害年金といった精度をいかに上手に利用できるかがポイントになる。そこで同会が作ったのが、利用可能な制度を探すためのサイト「がん制度ドック」(http://www.ganseido.com)。がんの部位や体調、医療保険や年金の種類、収入や生命保険の特約など計22の質問にチェックを入れて「検索」を押すと、使える可能性のある制度が表示される。東京都が昨年発表した「がん患者の就労等に関する実態調査」では、「知らなかったので利用せず」という答えが高額療養費制度では8%、傷病手当金制度では40%に上った。同会理事でファイナンシャルプランナーの岡本英夫さんは「貯金などがない2人以上の世帯が3割に上るという調査結果もある。傷病手当金や障害年金があるだけで助かる人もいる。制度を知るためにも『がん制度ドック』を活用してほしい」と話す。(5月28日 朝日新聞)