●高齢の母、全摘は不安 四国の実家で独り暮らしをしている母は5月下旬に血尿が出て、6月に「膀胱がん」と診断されました。7月下旬に膀胱の全摘手術を受けることになりました。しかし、80歳の母が今後自分でストーマ(人工膀胱)を扱えるのか、母も私も不安になり、本を読んだりして勉強しました。一方、病院では2週間近い入院中、ストーマの具体的な説明がなく、本人がストーマ生活をイメージできない状態で膀胱を失うことに疑問を感じました。そこで、膀胱を取らないですむ治療を積極的に行っている病院をインターネットで調べました。大阪医科大付属病院を見つけ、膀胱温存療法を主治医から申し込んでもらいました。通院のため、しばらく兵庫県の私の家に滞在する予定です。1カ月で母は5キロ以上やせたそうで、電車で2時間かけて大阪医科大まで連れて行くのも不安ですが、希望を持って治療に挑みたいと思います。(兵庫県 女性 43歳) ●効果高い治療に保険適用を 6年前、ステージ3の乳がんと診断されて、右乳房を全摘し、わきの下のリンパ節を3分の2摘出しました。抗がん剤と手術。治療を乗り越えたと思った1年後に、肝臓に転移が見つかりました。毎月入院して「肝動脈化学塞栓療法」という治療を受けました。膀胱がんの連載記事に出ていた「BOAI」と似た治療で、太ももから入れたカテーテルを通じて、高濃度の抗がん剤と塞栓物質を肝臓にじかに流し込むものです。1年半の間に再発、再々発。治療は7回にわたりました。3年が経ち、今は画像で治療痕が見えるだけです。今この時を生きていることに感謝しています。「BOAIの治療は約100万円の自費負担」という記事に、やり切れない思いです。「生きられる治療」を患者が自費負担の高さであきらめることがないように、、効果の高い治療こそ保険適用になることを願っています。東京都 伊東小百合 52歳。(10月15日 朝日新聞 患者を生きる 読者編より)