パクリタキセルだけでなく、新薬を併用し、その効果を確かめる「治験」に参加してみないか・・・。治験は新薬を承認するために行われる臨床試験。1相から3相まで、三つの試験がある。主に安全性を確認する1相、有効性を確認する2相、新薬の高価を従来の薬などと比べながら確かめる3相のうち、その治験は3相だった。新薬を使うグループと、使わないグループに患者を分けて行うという。新薬の効果を厳密に評価するための方法で、どちらに割り当てられたかは、患者本人だけでなく、医師にも分からない。もしかしたら新薬でないかもしれない。それでも男性は、この治験に参加することにした。「新しい薬に当たる可能性があるなら」」。治験は、企業が薬代を負担してくれることも大きかった。2011年11月、2段階目の治験が始まった。点滴から落ちる液体が新薬かどうかは、考えなかった。(3月18日 朝日新聞 患者を生きる 胃がん より)