対照的なのが1相試験だ。すべての参加者に新薬が使われ、偽薬(プラセボ)を割り当てられる心配はない。ただし、安全性を確認するのが主な目的で、がんで1相を実施する医療機関は、態勢が整ったごく一部に限られる。募集する参加者も数人だけ。参加を望む患者が全国から集まってくる。1相の薬は人に使った経験がないケースもあり、未知の副作用のリスクは高いという点にも注意がいる。1相で安全性に問題が見つかり、2相へ進めないまま治験を終える薬もある。治験に参加する際は、医師や担当のコーディネーターから詳しい説明を受ける。国立がん研究センター東病院早期・探索臨床研究センターの設楽紘平さんは、「試験のメリット、デメリットについての説明を十分に理解した後で、参加を決めることが重要です」と話す。(3月22日 朝日新聞 患者を生きる 胃がん より)