筋肉や骨にできるがん「肉腫」。大人では、がん患者全体の1~2%程度と患者数が少ない。貴重なデータを一カ所に集め、生かしていくことが、治療の進歩につながるのではないか。そんな思いの患者たちが、国内に新たな治療拠点をつくることを目指し、動き出した。「サルコーマセンターを設立する会」の発足記念前夜祭で、患者・家族ら約150人が集まった。壇上に立った吉野ゆりえさんは、「忘れられたがん」と肉腫を表現した。元ミス日本で、プロダンサーとして世界を舞台に活躍した。2005年3月「後腹膜平滑筋肉腫」と告知された。下腹部の激痛をきっかけに受診。病理検査をしてから判明した。少ない患者が全国バラバラに診られている現状で、治療は進歩するのか。「このままでは、いつまでも肉腫は忘れられたままになってしまう」 昨秋、横浜市内で開かれたがん患者や家族らが24時間歩き続けるイベント「リレー・フォー・ライフ」に出演。肉腫のためのセンターの設立を呼びかけると、全国から賛同の声が集まった。「忘れられたと嘆くのではなく、忘れられないように声をあげるのが、患者にできる第一歩」と吉野さんは言う。(朝日新聞)