例えば松葉づえなら、手術前に使い方を覚える。食道がんの手術の前には、呼吸リハビリ。呼吸訓練機を使うなどして深く息を吸う練習、たんを出す練習などをしておく。全身麻酔をかけて気道にチューブを入れた影響で手術後は肺にたんがたまりやすくなり、肺炎などの原因になりやすい。一方で患者は痛みなどのため肺活量が落ち、たんを出しにくくなる。術前にたんの出し方や深く呼吸することをつかんでおけば、たんを出しやすく、後遺症予防になる、というわけだ。高齢者や他の病気のある人が肺がんや胃がん、肝臓がんなどの手術を受ける前にも訓練をするという。「痛くて苦しい思いをしているときに体操を覚えるより、スムーズに進みます」と田沼さん。さらにリハビリ担当職員と手術前に会って説明を受けておくだけでも、患者の意欲は高くなるという。