ゴールデンウイークに福岡市で開かれる「博多どんたく港まつり」のパレードに福岡市南区長住1丁目の藤本倫子さん(86)が参加する。藤本さんはかつて、五つものがんを克服した体験を持つ。パレードへは、設立6周年を迎える青葉の会が昨年に続いて、がん患者や家族、医療関係者に呼びかけ、約150人が参加する予定。藤本さんは60歳のときに子宮がんが見つかり、手術を受けた。それから15年後に胃がんと大腸がん、胆のうがん、舌がんが見つかり、手術を受けた。手術の際は麻酔こそ受けたが、病院では抗がん剤はおろか、一服の薬も飲まなかったという。手術から3週間後には退院した。大腸にはポリープがまだ残り、医師は手術を勧めたが、「また帰ってきます。そのときは宜しくお願いします」と強引に退院した。周囲の友人や知人は「用心しなさい」と気遣うが、藤本さんはそのたびに「病は気から。自分が落ち込んだら駄目。風邪をひいたのと同じと思えば、ちゃんと克服できる」と繰り返してきた。パレードのチーム名は「がん・バッテン・元気隊」。博多弁で「がんだけど元気」と「がんばって」をかけた。(朝日新聞)