貯蓄やがん保険で備えていても、働き盛りが病気をきっかけに仕事を失うと、ただちに経済的に困窮してしまう可能性がある。厚生労働省研究班の調査では、がんをきっかけに、3人に1人が仕事を辞めたり解雇されたりしていた。最近注目されているのが、「就業不能保険」と呼ばれるタイプの保険だ。がんだけでなく、病気やけがをきっかけに全く仕事ができない状態が長期間続いた場合、決まった額が支払われる保険だ。プランにもよるが、最長65歳まで月数十万円を受け取れるものが多い。大手生命保険会社での勤務経験がある保険コンサルタントの後田亨さんは、「住宅ローンを抱えている人や貯蓄がない人、一家の大黒柱の場合は加入の検討対象になる」と話す。ただ、実際にがんで働けなくなる確率や、給付金を受け取る期間などの情報を、各社はほとんど開示しておらず、メリットがどれほどあるのかの評価が難しい。後田さんは「現状では保険料を払い続けるリスクの方が高いかもしれない」と指摘する。(7月16日 朝日新聞)