子宮頸がんワクチンの接種を積極的に勧める施策を国が中断して、14日で2年になる。接種した10代を中心にあらわれた全身の痛みやけいれんといった「副反応」の原因はいまもはっきりしない。学校に通えない少女たち。推奨再開を打ち出せない厚生労働省。問題は混迷を深めている。茨城県牛久市の牛久南中学校。3年の女史生徒(14)が理科教諭(48)と一対一の補修を受けていた。「絶対良くなって、私も9月の体育祭に出たい」。級友たちは体育の授業中だ。1回目のワクチン接種は2013年5月の定期接種だった。この年の6月に国は推奨を中断したが、翌月に自ら希望して2回目を受けた。直後から右腕が痛みで上がらなくなった。痛みは腰やひざに広がり、足に力が入らなくなった。手指が震えてペンを持てない。帰り道や食事をしたことを忘れるようになった。1年半、中学を休んだ。今年3月にステロイドの集中投与を受け体調が好転した。痛みはまだ残るが、車いすで登下校し、1日数時間、授業に出始めた。「危険なワクチンなら国がまさか定期接種にするわけがないと思っていた」と母(43)。女子生徒を支えるのは市と学校だ。4階にあった中3の教室をそっくり2階の中2と入れ替えた。車いす用の階段昇降機を導入し、トイレを改修した。ただ、こうしたケースはわずかだ。「なんかきつい。もう寝る」。北九州市若松区の会社員の女性(45)は、長女(17)が高校1年だった2013年5月、3回目の接種を受けて帰宅した時のことを今もよく覚えている。小児科から帰ってきた長女はぐったりとして、夕食も食べずに寝室に入った。接種の翌々日、左足付け根がズキズキと痛みだした。接種した小児科に行くと、「心因性のもの。悩み事は?学校に行きたくないんじゃ?」と言われた。その頃、母親は、報道で子宮頸がんワクチンの副反応を知った。慌ててほかの病院を受診したが、原因は不明。疲れやすくなり。風邪を頻繁にひくようになった。立ちくらみがひどくなり、高校に入学したばかりだったが、欠席が増えた。欠席が続いて進級も危うくなり、今年4月、市内の単位性高校に転学した。今の頭痛や吐き気に悩まされるが、大学進学を夢見て、体調の良い時は杖をついて通う。母親は「やりきれない。この思いをどこにぶつけたらいいのか」と憤る。(6月14日 朝日新聞)