連載では、「ただのほくろ」と見逃されがちなメラノーマ(悪性黒色腫)も取り上げました。体験者から届いた声を紹介します。 ●おしりのほくろ「似てる」 6年前のことです。家族でメラノーマについてのテレビ番組を見ていた時、娘から「お母さんのおしりのほくろに似ている」と言われました。自分では見えづらく、それまでは放置していたのですが、皮膚科に行くことにしました。念のため検査を受け、10日後に結果を聞きに行ったところ、「すぐに大きな病院へ」と告げられました。結果はメラノーマでした。がん細胞が散らばる可能性があるそうで、こぶしぐらいの大きさのかたまりをおしりから切除しました。足の付け根のリンパ節も取り、おなかの皮膚をおしりの切除部分に移植しました。おしり、足の付け根、おなかの3カ所に傷ができ、手術直後はまったく歩けなくなりました。手術から5年以上が経過し、今は友達や家族と旅行などを楽しんでいます。生きていることの喜びを感じています。「あの時のテレビ番組を見た娘の一言があったからこそ、今がある」。そう感じる毎日です。(兵庫県 女性 49歳) ●後遺症なく元気に 足の裏に変なしみがあるな」と、ずっと思っていました。ある日、テレビ番組でメラノーマというがんを知り、不安になって病院へ行きました。当時の医師の説明によると、輪郭がいびつだったことが、メラノーマを疑う決め手になったそうです。私のメラノーマは、幸いにも表面だけで小さいものだったので、手術で治りました。やはり、できるだけ早くに病院に行くことが大切だと知りました。私は45歳で乳がん、56歳でメラノーマ、そして61歳で大腸がんと、がんを3回経験しました。すべて早期発見だったことや、すばらしい医師に巡り合えたことで、後遺症もなく元気に毎日を過ごしています。還暦を過ぎましたが、これだけがんと闘ったのだから、この先はよいことが待っているに違いないと思っています。茨城県 女性 62歳 (8月14日 朝日新聞 患者を生きる 読者編より)