●前向きな考えに励まされた 私は、10代の頃から複数の精神疾患があり、胃や腎臓などの病気もあります。体調や気分に波がある中、アルバイトや派遣社員として働いてきました。就職のために資格も取得しました。現在は体調が悪化し、障害者年金と生活保護を受けて暮らしています。がんの治療中に解雇されたという記事(「働く」前編)では、闘病中は精神的にも肉体的にもつらいのに、さらに仕事まで失ってどれほど苦しんだかと思うと心が痛みました。でも、(記事の男性は)「現状を変えていこう」と前向きに考え、資格を取り、再就職を果たしました。こういう状況でもがんばれることに励まされました。病気であることへの社会の偏見を感じることもあります。障害者や生活保護受給者への理解や支援が進むことを願っています。(埼玉県 女性 37歳) ●職場で経験伝えたい 2011年、37歳のときにたまたま受けた胸部CT検査がきっかけで肺腺がんが見つかりました。転移もわかり、手術後に抗がん剤治療を受けました。半年間の休職後、営業職から内勤に異動。営業職から離れたくない思いはありましたが、病気と闘うことに集中しました。2013年には脳への転移が見つかり、休職を繰り返しながら3回の放射線治療装置「ガンマナイフ」による治療と1回の手術を受けました。現在もステロイド剤を内服中で、残る脳腫瘍を経過観察しています。確定診断の時は動揺し、悔し涙も流しました。その後は、「やるしかない」という強い気持ちとともに、適度な鈍感力が大切だと感じています。「5年生存」「息子の結婚式に出る」など短中長期の目標を立て、自分でコントロールできないことには逆らわず、状況に応じて調整していきたいと思います。「がん」という言葉に触れる機会はあっても、多くの人にとっては「対岸の火事」。職場でも自分の経験を話し、早期発見への啓発にも役立てられればと考えています。東京都 男性 42歳。(4月8日 朝日新聞 患者を生きる がん 読者編より)